デンマーク留学記 ~13日目、外国人の仕事に対するスタンスと物事の本質を見極める力、端的に伝える力~

私の滞在している研究室では、毎週金曜日の9時から10時までミーティングを行うのが恒例になっているそうです。私が日本で所属しているラボでは、週に1回ずつ文献紹介と月報が存在しており、それぞれラボメンバーの2名ずつが30分ほどかけて発表し、内容について30分~1時間議論します。それに対して、こちデンマークの研究機関では、まず、Professorが全体の議論として伝えておきたいことや今週の出来事、今後の予定を10分間ほど話しました。その後、メンバー全体に話を振って、全体に伝えておきたいことを伺います。それが完了したら、ラボメンバー全員が、今週の成果とそれに基づいた来週の計画について2, 3分ほどで話をします。もちろん、その2, 3分間は話をするだけでなく、先生やラボメンバー全員との議論も含まれます。含まれますが、長くてもだいたい3分で終わるのです。これを20人弱いるラボメンバー全員に対して行って、ミーティングは終了します。要した時間はたったの1時間で、非常に簡潔にまとまっていました。20人もの予定を確認しても、1時間足らずで早く終わる理由としては、ラボメンバーがあらかじめ1, 2分で終わるように一番伝えたい要点を絞って準備していることと、無駄な意見や議論が存在せず、ほとんどが建設的な内容で完結しているからだと思いました。(自分も前日に話を伺っていたので1分で話し終わるようにまとめておきました。)そして、それを可能にしているのは、みなが物事の本質を捉えて自分の意見を端的に述べ、それをProfが即座にまとめて結論付けていることに起因していると感じました。(全員が当事者意識を持つ。これが本当のリーダーシップちゅうもんやろうな。)日本では、大学や研究機関のみならず、企業でも無駄な議論や会議が多いなどの話をよく耳にします。そうならないようにするためのヒントがここにあるような気がしました。

もっと言うと、ミーティングだけでなく、1日のスケジュールを見ても、こちらの人たちはだらだらと長くやるのが嫌いなのだろうな、というのがわかります。みなさん6時間ほどしかラボにいません。早い人で朝の7時半から、ゆっくりな人でだいたい9時にラボに来ます。それで、早い人なら14時には、遅めな人でも16時には帰宅します。(さすがにProf.級になると会議等がたくさんあって、思うように就業時間をコントロールできないそうですが。)みなさん、だいたい7時間ほどしかラボにいません。昼食や午後のエクササイズ(日課)を除けば6時間も働いていないと思います。その上、しょっちゅう「コーヒー飲もうぜ」と他人を誘っては外のテラスで会話が始まります。(自分はコーヒーを飲めないので紅茶です。)自分が4時間かけて実験をしていたときには、受け入れ先の先生から「まさかそんなに長い時間やっているとは思わなかったよ!」と言われてしまったこともありますが、その発言からも、あまり時間をかけて作業をするということがないことが伺えます。「技術員をつけてくれたおかげで、日本でやるときの半分の時間で終わったよ」と伝えたら、「あんたは日本で何時間働いとるんだ」と言われてしまいました。私は、日本では朝9時から夜の10時、場合によっては日付が変わるまで作業しているので、平均して毎日12時間以上働いていることになるのですが、自分の仕事の遅さが少し恥ずかしくなりましたね。先方は「日本人はハードワーカーだね!」と言っていましたが、その労力に成果が見合っているかどうかというとちょっと自信ないです・・・・・・(というか、本当に無駄な書類が多すぎるねん。)彼らの持っている、仕事に対するスタンスと物事の本質を見極めて端的に伝える力は、日本人のワークライフバランスや業務の遂行に対して大変参考になるものだと思います。

最後に、関係ないのですがお気に入りのレストランの写真を。

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昨年コペンハーゲンに来たときに食べた食事の中で、ここのものが一番おいしかったんですよね。TIVOLI HALLENという市庁舎の近くにあるレストランで、1週間ほど前に来たときは改装工事中でがっかりしたのを覚えています。本日、何の気なしに通ったら再開していたので、滞在中にまた寄りたいと思います。