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見えないものを見ようとして、顕微鏡をのぞきこんだ。

ある理系院生の備忘録 ~RiskとBenefitの狭間に揺れて~

学振の説明会を聞いて考えたこと ―情報の序列と線引き―

昨日、学振の説明会があった。

 

そこでは、過去にDCに採用された実績のある人の先輩方が審査書類の書き方を講演した。

 

研究に対する思いや覚悟。その研究をやる意義がどれほどあるか? その研究をすると、何がどのように変わるのか?

 

そういった研究やその計画に関するアドバイスや指摘もあったが、こうしたことは、DCを目指すレベルの研究者はたいていできている。というか、そもそもDCは、その年の同じ学年の上位1割よりも高い位置にいないと採択されないと言ってもいい。

 

そのレベルの人たちに、研究に対する覚悟・思いが不足しているとは思えない。上1割の人にそれほど大きな差があるとは思えない(思い違いかな?)

 

上位1割に入れるか入れないか、それを決めるのは、自分の研究に対する思い、研究の意義、研究の遂行方法や能力、そのものに問題があるのではなく、その“伝え方”に差があるのだと思う。

 

演者2人も、発表にもっとも時間を費やしていたのは、“伝え方”であった。

 

伝える書類、伝わる書類を書くためにはどうすればいいか。私は、書類を通すためには、これが最も大事だと考える。

 

もちろん、書体や文字の使い方、レイアウト、見た目、強調など様々な「テクニック」は存在する。それも教えていた。しかし、そういったテクニックは、学べばだいたいできるし、すぐにでも実践できるものだと思う。

 

ここからは講演を聞いた時の私の考察になるが、伝わる書類を書くためには、重要事項の序列とその序列に対する線引きが適切にできることだと思う。

 

ちょっと回りくどい言い方なのので、シンプルなロジックにすると、

 

伝えるのがうまい人は、情報の取捨選択がうまい。何が大事で何が大事でないのか。何を伝えるべきで、何を伝えるべきでないのか。この選択がうまい人の話は非常に分かりやすい。このあたり、私が最も苦手としていることだ。

 

そして、この情報の取捨選択をするためには、捨てるべき情報と捨てるべきでない情報の2つに区分する必要がある。あらゆる情報をこの2つの事柄に区分するためには、以下の2つの能力が必要であると思う。

ひとつは、情報の重要度別の序列化が適切である

もうひとつは、その序列化した情報に対して、場面に適切な線引きができること

この2点である。

 

前者は、自身の生まれ持った感覚やセンスに加え、その人の知識・経験に依存すると思う。この点は非常に難しいのだが、私個人、この序列に正解はないと思う。この序列にこそ、その人の個性や面白さが出ると思う。ただ、この重要度順、伝わる書類を作成する場合は、伝えたい事項の序列が、審査の人と食い違えば、通りにくくなることは間違いないと思う。感覚やセンスは仕方ない物として、適切な序列をつくれるようにするためには、知識と経験が重要であることが分かる。

 

そして、後者の“線引き”。これも非常に重要となる。ある場面、ある場面に対してこの線引きの位置は変わってくるのだが、その場面に対して適切な線引きができない場合、情報過多、あるは情報不足となり、伝えようにも伝わらなくなってしまう。私個人、この線引きは、上記序列よりも重要であると考える。上記の序列はあくまで、個人依存であり、価値観に依存するため、単に否定することはしにくい。ましてや、筆者がその研究のトップを走っていると自負するほどの書類で、審査員よりもその分野の知識が劣るとも考えにくい。そうした人が、伝えることに失敗する原因は序列よりも、線引きの段階であると考える。どこまで伝えたほうがいいのか、どこから伝える必要が無いのか。

 

私はこうしたことを講演で考えた。そして、この重要度の序列と線引きは、何も伝わる書類を書くためだけでなく、様々なことにも関わってくると思う。例えば、普段の仕事では、時間や資源が有限である限り、仕事のできる人、仕事のできない人の差は単純な仕事量の差ではないと考える。

(努力でどうにかなる程度のラインにいる人は単純な仕事量の差かもしれないが。)

 

努力でどうにもならない壁に当たった人、同じ努力にもかかわらず、差ができてしまうような人は、当然、単位時間当たりの仕事のパフォーマンスが違うからである。そのパフォーマンスの差は上記の、仕事に対する重要度の序列とその線引きがうまいか否かであると考えている。

 

今の社会では、“選択”を迫られる場面が非常に多い。その“選択”は言い方を変えればチャンスあるいはピンチともいえる。そのチャンスをつかみ、ピンチを乗り切るためにも、情報の序列、そして序列に対する線引きを意識してこれからの生活を生きていきたい。そして、そのために、様々な経験をし、多くの知識を身につけていこうと思う。

 

 

駄文終わり。